外国人が日本のホテルで働ける在留資格は？求められるスキルや向いている人

ホテルの仕事では、お客さまをあたたかく迎え、快適に過ごしてもらえるようなサービスを提供します。特に日本では、ていねいで質の高いサービスやおもてなしの心が重視されています。そのため、日本のホテルではたらくにはどのような在留資格やスキルが必要なのか、どのような人が求められるのかを知っておくことが大切です。
また、日本のホテル業界では、人材不足が大きな問題となっています。外国人向けの求人を出すホテルも増えているので、日本ではたらきたい人にとっては活躍のチャンスだといえるでしょう。

この記事では、日本のホテルではたらくために必要な在留資格や求められるスキル、向いている人のとくちょうについて、分かりやすく解説します。日本のホテル業界で活躍したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください！

日本のホテルで働くために必要な在留資格

ホテルではたらくには、特別な資格やスキルなどは必要ありません。しかし、外国人が日本のホテルではたらくとなると、在留資格を取らなければなりません。ホテルではたらくことができる在留資格にはいくつか種類がありますが、資格ごとにはたらける職種や仕事内容が異なるため、それぞれの違いをしっかり知っておくことが大切です。

ここでは、日本のホテルではたらくことができる在留資格を紹介します。

①特定技能「宿泊業」「外食業」

特定技能にはさまざまな種類がありますが、ホテルではたらく場合は「宿泊業」の在留資格が必要です。宿泊業では、フロントやレストランサービス、客室清掃、広報・企画など、ホテルの幅広い仕事ができます。

また、ホテル内のレストランやカフェではたらく場合は、「外食業」の特定技能でも可能です。料理を運んだり、もり付け、食器のセッティングや洗いものなどを行います。ただし、フロントやベッドメイキングなどの業務は行えないので、仕事の選択肢を増やしたい場合は宿泊業の特定技能を取ることがおすすめです。

「宿泊業」と「外食業」の特定技能1号を取るには、技能評価試験と日本語試験の両方に合格する必要があり、日本語試験はN4以上のレベルであることが求められます。ただし、技能実習2号を修了していれば試験は免除されます。

②技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を持つ外国人も、日本のホテルではたらくことができ、主にフロントや企画、マーケティング、通訳などの専門的な仕事ができます。この在留資格は、まとめて「技人国（ぎじんこく）」と呼ばれることが一般的です。

技人国は、日本または外国の大学や専門学校を卒業し、宿泊業に関する知識を持っている人や、宿泊業での10年以上の経験がある人が申請できます。ただし、自身の学歴と関連のない職種でははたらくことができず、料理を運ぶ、掃除するというような単純作業の業務は行えないことに注意しましょう。

③居住資格

身分に基づいて取得できる在留資格を持っている外国人は、他の在留資格のように仕事内容や勤務時間に制限がなく、アルバイトとしても正社員としても、日本のホテルではたらくことが可能です。

日本に長く住んでいる外国人は日本語にもなれており、日本の文化や接客マナーをよく理解している人も多いため、ホテル業界でも即戦力として活躍できるでしょう。

④その他の資格

これまで紹介した在留資格の他にも、日本のホテルではたらくことができる資格があります。

「留学」の在留資格を持つ学生は、「資格外活動許可」を取ることで、学業を優先しながらアルバイトとしてホテルではたらくことができます。仕事内容には制限がありませんが、1週間に28時間以内の勤務と決められています。ただし、春休みや夏休みなどの長期休暇であれば、勤務時間を1日8時間以内まで延長できます。

「特定活動」は、日本の大学や専門学校などに通う留学生が、卒業後も就職活動を続けるために必要な在留資格です。学校を卒業すると「留学」という活動は終わってしまうため、卒業までに就職先が決まらなかった場合は、在留資格を特別活動に切り替える必要があります。特別活動では、アルバイトとして1週間に28時間以内であればはたらけます。

「特定活動46号」は、日本の大学や大学院を卒業し、高い日本語能力を持つ外国人が取れる在留資格です。この資格があれば、通訳や翻訳業務と並行して、フロント、レストランサービス、客室清掃など、ホテル内のさまざまな職種で正社員としてはたらくことができます。技人国とは違い、自身が学んだ分野と関連しない職種であってもはたらけます。

日本のホテルで求められるスキル

日本のホテルではたらくには、さまざまなスキルが求められます。どのようなスキルが求められるのか見ていきましょう。

おもてなしの心

日本のホテルでは、おもてなしの心がとても重要です。たとえば、お客さまが荷物を持っていれば「お持ちしましょうか？」と声をかけたり、雨の日にはタオルを用意したりするなど、相手の気持ちを考えた行動が求められます。ただ決められた業務をこなすのではなく、お客さまの立場に立って、先回りして行動できる人が高く評価されます。
常に周りをよく見て、お客さまをおもてなししようとする気持ちを持つことが大切です。

さまざまな語学力

ホテルでは、日本人だけでなく外国からの観光客も多く宿泊します。そのため、日本語が話せることはもちろん、英語や中国語、韓国語などができるとさまざまな場面で活躍しやすいです。フロントスタッフなら、お客さまに道を聞かれたり、観光地について質問されたりすることがよくあります。日本人以外のお客さまに対しては、かんたんな英単語やフレーズを知っているだけでも仕事の幅が大きく広がり、言葉が通じにくい場面ではジェスチャーや地図を活用できるとスムーズです。

また、自身の母国語を活かせる場面もあります。同じ言語を話すお客さまに対応できれば、よりていねいな接客ができ、ホテルの評価も高まるでしょう。

このように、日本語以外の言語でも接客できるスタッフは、ホテルにとっても貴重な存在です。語学のスキルをみがくことで、キャリアアップのチャンスも広がります。

体力や忍耐力

ホテルの仕事は、基本的に立ち仕事であることが多く、職種によっては重いものを運ぶ作業もあるため、十分な体力があると有利です。たとえば、ハウスキーピング（客室清掃）では、一日に何部屋も掃除しなければなりません。必要に応じてエキストラベッドを運ぶこともあるため、体力に自信のある方は活躍しやすいです。

また、お客さまの荷物を運ぶベルスタッフや、ほぼ一日立ったまま仕事をするフロントでも体力や忍耐力が求められるため、日々の体力づくりや健康管理は欠かせません。

問題解決力

ホテルでは、予想しないトラブルが起こることがあります。たとえば、予約がダブルブッキングしている、部屋の設備がこわれた、お客さまがルームキーをなくしたなど、さまざまな問題が発生します。

こうしたときに、ただ上司を呼ぶだけではなく、自分でできる解決方法を考えられる人が求められます。お客さまにとっていちばん良い対応を考え、すぐに行動できると、スタッフとしてだけでなくホテル全体の評価にもつながります。どのようなときでも落ち着いて対応できるように、常にトラブルを想定しながら行動することを意識しましょう。

日本のホテルでの仕事に向いている人

続けて、ホテルではたらくことが向いている人のとくちょうを紹介します。

人と接することが好きな人

ホテルの仕事は、お客さまと直接関わることが多いので、人と接することが好きな人に向いています。たとえば、フロントスタッフは、お客さまのチェックインやチェックアウトを担当し、常に笑顔で対応することが求められます。レストランやベルスタッフも、お客さまと会話することが多いため、親しみやすさが大切です。

人と話すことが好きで、いつでもお客さまとのコミュニケーションを楽しめる人は、ホテルでの仕事にやりがいを感じられるでしょう。

チームワークを大切にできる人

ホテルでは、チームの一員として協力しながらはたらける人が求められます。
ホテルの仕事は、自分ひとりだけで成り立つものではありません。フロントが受付をし、ベルスタッフが荷物を運び、清掃スタッフが部屋をきれいにするなど、それぞれの担当が連携することでお客さまに快適なサービスを提供できます。特に忙しい時間帯は、お互いに助け合いながら仕事を進めていくことが大切です。

そのため、チームワークを大切にし、周りの人と協力しながらはたらける人は、ホテルでの仕事に向いていると言えるでしょう。

コミュニケーションを取ることが得意な人

ホテルではたらくには、お客さまとはもちろん、スタッフ同士のコミュニケーションも求められます。フロント、レストラン、清掃など、さまざまなスタッフたちと協力しながら仕事を進めていくため、スムーズな連携がとても重要です。うまく連携を取るためには情報を正しく共有し、周囲とせっきょくてきにコミュニケーションを取ることが大切なのです。

略して「報連相（ほうれんそう）」とも呼ばれる「報告・連絡・相談」を意識しながらはたらくことができる人は、ホテルでも活躍しやすいでしょう。

日本のマナーや文化を理解しようとする人

日本のマナーや文化を学び、それに合わせた接客をしようとする姿勢がある人は、ホテルではたらきやすいでしょう。

日本のホテルでは、日本のマナーや文化を大切にすることが求められます。多くのホテルは、おじぎをしてあいさつする、時間を守る、ていねいな言葉遣いをするなど、日本ならではの礼儀作法やサービスの考え方を大切にしています。そのため、ホテルではたらくには、仕事を通じて日本のマナーや文化を知ろうとすることが大切です。最初は分からないことがあっても、理解しようとする姿勢があればお客さまにも好印象を与えられるため、少しずつ学んでいくようにしましょう。

必要な在留資格とスキルを身につけてホテルで活躍しよう！

今回は、日本のホテルではたらくために必要な資格や求められるスキル、向いている人の特徴について解説しました。

ホテルではたらくには、特定技能の「宿泊業」または「外食業」、技術・人文知識・国際業務、永住者などの居住資格といった在留資格を取る必要があります。在留資格によって勤務時間やはたらける範囲が変わるため、自分に合ったものを選びましょう。また、ホテルでは語学力や体力、おもてなしの心など、多くのスキルが求められます。すべてのスキルがなくても、人と接することが好きで、チームワークを大切にできる人は、ホテルの仕事に向いているでしょう。

日本のホテル業界では、外国人スタッフの活躍の場が広がっています。必要なスキルを身につけ、自分に合った在留資格を取れば、日本のホテルでの仕事に挑戦できます。

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