日本のホテルではたらくには、接客用語を正しく理解することが求められます。ホテルでは、毎日多くのお客さまと出会います。お客さまに安心して過ごしてもらうためには、ていねいな日本語を使うことが欠かせません。しかし、敬語やクッション言葉など、日本語にはむずかしい表現も多く、最初はとまどうこともあるかもしれません。
この記事では、ホテルの接客ですぐに使える基本的なフレーズを紹介します。また、よくある言い間違いや、知っておくと役立つクッション言葉もわかりやすく説明するので、これから日本のホテルではたらきたいと考えている方や、すでにはたらき始めている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ホテルの接客で使える基本フレーズ

ホテルでは、お客さまに安心して過ごしてもらうために、ていねいでわかりやすい日本語を使うことが大切です。
ここでは、毎日の接客でよく使う基本的なフレーズを紹介します。言葉の意味だけでなく、使う場面や気をつけたいポイントも一緒に覚えておきましょう。
①いらっしゃいませ
お客さまがホテルに来たときに、最初に言うあいさつです。この一言でホテルの印象が大きく変わるため、お客さまのほうをしっかり向いて、感謝の気持ちを込めて笑顔であいさつしましょう。声のトーンを少し高めにすると、より明るく聞こえて良い印象を与えられます。語尾を伸ばさないことも大切なポイントです。
②ありがとうございます
「ありがとうございます/ありがとうございました」は、お客さまが何か注文してくれたときや、ホテルから出るときなどによく使います。接客業の基本は感謝の気持ちを伝えることです。お客さまに何かしてもらったら、謝罪の言葉よりも感謝の気持ちを積極的に伝えましょう。
③かしこまりました
お客さまからのお願いをしっかりと受け取ったことを伝えるときに使います。「わかりました」と同じ意味ですが、もっとていねいで敬意のある言い方です。お客さまの注文や要望に対して承諾の気持ちを伝える場合は、「かしこまりました」を使いましょう。
④少々お待ちください
お客さまを待たせるときや、その場から離れるときに使います。「ちょっとお待ちください」だとカジュアルな印象なので、ホテルの接客では「少々お待ちください」が適しています。
「お待ちいただけますか?」や「お待ちくださいませ」のように言うと、よりていねいでやわらかい表現になります。
⑤お待たせいたしました
少し待たせてしまったお客さまのところへ戻るときは、最初に「お待たせいたしました」と言ってから話し始めましょう。たとえ数分程度でも、お客さまを待たせたときには必ずこのひとことを伝えます。フロントでのチェックインやチェックアウト、レストランなど、さまざまな場面で使うので、覚えておくと役立ちます。
⑥恐れ入ります
感謝や申し訳ない気持ちを伝える言葉です。お客さまに何かしてもらったときなどに、「ありがとうございます」の代わりに使います。また、「クッション言葉」としてもよく使う言葉です。話を切り出したいときや何かお願いするときに、最初にこのひとことを付け加えるだけで表現がやわらかくなります。
クッション言葉については、次の章で紹介します。
⑦申し訳ございません
お客さまに謝るときに使うフレーズです。接客やビジネスの場では「すみません」ではなく、よりていねいな「申し訳ございません」が適しています。お客さまの要望に応えられなかったり、クレームがあったりした場合は、ていねいに対応して誠意を伝えることが大切です。言葉づかいだけでなく、表情や声のトーンにも注意しましょう。
ホテルの接客では注意!間違いやすい表現

接客の現場では、ていねいに話しているつもりでも、実は不自然だったり、間違った敬語になってしまうことがあります。ここでは、特に間違えやすい表現と正しい言い方をわかりやすく紹介します。
〜のほう
よく聞く表現ですが、「〜のほう」は方向や比較対象を示す言葉なので、接客では正しくないことがあります。
NG:こちらのほうでよろしいでしょうか?
OK:こちらでよろしいでしょうか?
よろしかったでしょうか
「よろしかった」は過去形なので、現在の話をしているときに使うのは不自然です。
NG:ご注文は以上でよろしかったでしょうか?
OK:ご注文は以上でよろしいでしょうか?
〜になります
本来は変化を表す言葉なので、事実を伝えるときに使うのは間違いです。ホテルの接客では、「〜です」「〜でございます」が正しい言い方です。
NG:お客さまのお部屋はこちらになります
OK:お客さまのお部屋はこちらです/こちらでございます
〜からお預かりします
お会計のときによく使われますが、これも誤った言い方です。「〜から」は、出発する場所を示す言葉なので、お会計で使う表現としてはふさわしくありません。また、お会計金額ぴったりにお金を出してもらったときは、「お預かりします」ではなく「いただきます」が正しい表現なので、使い分けられるように覚えておきましょう。
<おつりが出る場合>
NG:10,000円からお預かりします
OK:10,000円お預かりします
<おつりが出ない場合>
NG:10,000円からお預かりします
OK:10,000円ちょうどいただきます
お座りください
言葉づかいとして間違っているわけではありませんが、接客用語としては注意が必要な言葉です。
「お座り」は子どもやペットに使う言葉と思われることがあり、人によってはあまり良い印象ではないため、できるだけ使わないほうがよいでしょう。
NG:こちらにお座りください
OK:こちらにおかけください
〜にいたしますか?
自分の行動に使う言葉なので、お客さまに対して使うのは誤りです。
NG:どちらにいたしますか?
OK:どちらになさいますか?
知っていると便利!ホテルの接客でよく使うクッション言葉

ホテルではたらくと、お客さまにお願いやお断り、提案する場面がたくさんあります。お客さまに声をかけるときや話し始めるときに、最初にひとこと添えることで表現がやわらかくなり、ていねいで安心感のある接客になります。このような最初に添える言葉を「クッション言葉」と呼びます。
クッション言葉にはさまざまなものがあるので、場面によって使い分けられるようにしましょう。
お願いや提案をするとき
- 恐れ入りますが
- お手数ですが
- よろしければ
- 差し支えなければ
例
- 恐れ入りますが、お名前をもう一度うかがってもよろしいでしょうか?
- お手数ですが、お会計はフロントまでお越しください。
- よろしければ、お部屋までスタッフがご案内いたします。
- 差し支えなければ、ご連絡先をお聞きしてもよろしいでしょうか?
お断りするとき
- 恐縮ですが
- 大変申し訳ございませんが
例
- 恐縮ですが、お支払いは現金のみでお願いしております。
- 大変申し訳ございませんが、ただいま満席でございます。
いきなりお願いやお断りの言葉を言われると、相手によっては命令や拒否のように受け取られることがあります。そこでクッション言葉を使うと、会話の印象がやわらかくなり、お客さまに「ていねいに対応してくれた」という印象を残すことができます。
たとえば、「〜してください」だけを伝えると、少しかたい印象を与えてしまいますが、「恐れ入りますが」「お手数ですが」などの言葉を最初に付けるだけで、相手への気づかいが感じられる話し方になります。「恐れ入りますが、お名前をもう一度うかがってもよろしいでしょうか」「お手数ですが、こちらにご記入をお願いします」のように、相手にお願いするときなどにも使えて便利です。
ただし、クッション言葉を使いすぎると、まわりくどく聞こえてしまうこともあります。相手や場面に合わせて、自然に使い分けることが大切です。
ホテルの接客はていねいな言葉づかいを意識しよう!

今回は、ホテルでよく使う接客用語を紹介しました。どのフレーズも、お客さまへの感謝や申し訳ない気持ちを伝えるために欠かせないものばかりです。最初はむずかしく感じるかもしれませんが、ていねいな言葉づかいを身につけることで、お客さまに安心してもらえる接客ができるようになります。
さらにクッション言葉を使えば、お願いやお断りをやわらかく伝えることができ、よりていねいな印象を持ってもらえます。場面に応じて使い分けられるように、少しずつ覚えていきましょう。
言葉づかいだけでなく、笑顔や声のトーンも接客の大切なポイントです。少しずつ練習しながら、心のこもった対応を目指していきましょう。
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