特定技能の「随時届出」とは?定期届出と何が違う?ホテル・旅館の外国人採用

特定技能 随時届出

特定技能の外国人を雇用すると、受け入れ企業は「随時届出」という手続きが求められます。随時届出は、雇用契約の内容に変更があったときや、支援委託先または支援内容に変更があったときなど、決められた場面で速やかに行わなければなりません。登録支援機関に支援業務を委託している場合でも、届出の提出は受け入れ企業が行うことになっているため、どのようなタイミングで届出が必要なのかをしっかり把握しておく必要があります。

この記事では、外国人雇用を考えているホテルや旅館に向けて、随時届出が必要となるタイミングや書類、提出方法から提出先、提出期限までを分かりやすく解説します。
外国人の受け入れをスムーズに行うためにも、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

特定技能制度について詳しく知りたい方は、以下のリンクをご覧ください。
特定技能とはどんな在留資格なのか分かりやすく解説!ホテル・旅館の外国人採用

特定技能制度の「随時届出」とは?


特定技能 随時届出

特定技能制度における「随時届出」とは、外国人を受け入れる企業が、雇用に関する情報に変更があった場合などに出入国在留管理庁へ報告する義務のある手続きです。届出の提出が必要な場面は決められており、状況に応じて速やかに対応しなければなりません。たとえば、労働時間や賃金、休日・休暇などに変更があったときや、外国人本人が退職したときなどが届出の対象です。

届出を怠ったり、期限を過ぎてしまったりすると、罰金や特定技能外国人の受け入れ停止などの罰則の対象となるおそれがあります。そのため、状況の変化があった際には速やかに対応することが重要です。届出には複数の書類が必要になることもあるため、変更が分かった時点で早めに準備を始めましょう。随時届出が必要となるケースや、提出に必要な書類については、このあと詳しく解説していきます。

また、随時届出は受け入れ企業が行う必要があります。登録支援機関に支援業務を委託している場合でも、届出の提出を代行してもらうことはできません。ただし、支援内容の一環として、必要書類の作成についてアドバイスを受けたり、準備をサポートしてもらうことは可能です。日々の業務と並行して対応することが難しい企業にとっては、登録支援機関の支援を活用することで、より確実に届出を進めることができます。

バリプラGlobalでは、登録支援機関として、企業様の外国人雇用をサポートしています。書類作成だけでなく、提出方法の案内や期限のリマインドなど、届出に関するさまざまなアドバイスを行なっており、ビザの申請や入国手続き、外国人の生活サポートまでを一貫してお任せいただけます。ホテルや旅館の外国人雇用でお悩みをお持ちの方は、ぜひ以下のリンクをチェックしてみてください。
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随時届出の提出が必要なケースと必要書類


特定技能 随時届出

ここでは、随時届出の対象となる主なケースについて、必要な書類と合わせて詳しく解説します。

①雇用条件に変更があった場合

特定技能外国人の雇用条件に関する以下の内容に変更があった場合は、随時届出を提出する必要があります。

変更内容

  • 雇用契約期間
  • 就業場所(事業所や派遣先の変更):連絡先のみの変更の場合は届出不要
  • 業務内容
  • 休日
  • 休暇
  • 賃金
  • 退職に関する事項
  • その他(社会保険や労働保険の適用状況等について)

必須書類

  • 特定技能雇用契約の変更に係る届出書(参考様式第3-1-1号)
  • 雇用条件書(参考様式第1-6号)

届出を行う変更内容によっては、さらに以下の書類を添付する必要があります。

変更内容添付書類
就業場所(事業所の変更)<宿泊分野>
・旅館業許可証(旅館・ホテル営業許可書)

<外食業分野>
・保健所長による営業許可書の写し
・営業許可を要しないが保健所長への届出の対象となる施設はその届出の写し
業務内容・特定技能外国人が従事しようとする業務に必要な技能水準を有することを証明する資料
(技能試験の合格証明書、技能実習評価試験の実技試験合格証明書、評価調書など)
労働時間等・変形労働時間制に関する協定書の写し
・フルタイムではないことの理由書
賃金・特定技能外国人の報酬に関する説明書(参考様式第1-4号)
その他(社会保険や労働保険の適用状況等について)・労働保険料などの納付証明書(未納なし証明)
・労働保険関係成立届の写し
・労働保険の概算保険料申告書の写し

(参考:法務省 出入国在留管理庁「特定技能所属機関(受入れ企業・事業主の方)による随時届出 提出資料一覧表」)

②退職する場合(雇用契約の終了)

自己都合または会社側の都合かを問わず、外国人が退職した場合は届出が必要です。契約が終了したという事実を速やかに報告しなければなりません。

届出対象事項必須書類
・特定技能外国人の申し出による退職
・会社の経営上の理由による退職
・重責解雇、行方不明、病気やけが、死亡等により、当初の雇用契約期間の満了前に雇用契約が終了
・受入れ困難に係る届出書(参考様式第3-4号)
・受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書(参考様式第5-11号)
(※上記2点は、自己都合退職の場合は不要)
・特定技能雇用契約に係る届出書(参考様式第3-1-2号)

特定技能外国人が退職したら、基本的には「特定技能雇用契約に係る届出書」の提出が必要です。ただし、退職の理由によっては、あわせて「受入れ困難に係る届出書」と「受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書」も提出しなければなりません。この届出書が必要となるのは、企業都合や懲戒解雇など、企業側の事情により外国人との雇用を継続できなくなった場合です。たとえば、業績の悪化による解雇や、健康上の理由で働けなくなったケースなどが該当します。

一方で、外国人本人の希望によって退職する、いわゆる自己都合退職の場合は、受け入れ困難に係る届出書の提出は不要です。本人が転職や帰国を理由に辞めるときは、「特定技能雇用契約に係る届出書」のみを提出すれば問題ありません。

③新たな雇用契約を締結した場合

一度雇用契約が終了して必要な届出を提出したあと、同じ企業と再び雇用契約を結んだ場合にも届出が必要となります。この届出に必要な書類は以下の通りです。

必須書類

  • 特定技能雇用契約に係る届出書(参考様式第3-1-2号)
  • 新たな契約に係る特定技能雇用契約書の写し(参考様式第1-5号)
  • 新たな契約に係る雇用条件書の写し(参考様式第1-6号)

また、雇用契約の終了後に再雇用契約を結ぶケースには、以下のような例があります。

  • 特定技能外国人の申し出により退職したが、転職先が見つからずに再度雇用契約を締結した
  • 特定技能外国人が契約終了後に一時帰国したあと、再度入国して雇用契約を締結した

④支援計画に変更があった場合

外国人に対して行う支援の内容に変更があった場合も随時届出の対象となります。支援体制や担当者、事前ガイダンスや生活オリエンテーションといった支援内容に変更があったときは、変更後の支援計画内容を報告しなければなりません。自社支援の場合はもちろん、登録支援機関に支援業務を委託している場合でも、この届出の提出は受け入れ企業が行います。登録支援機関の支援を受けている場合は、届出に必要な書類作成のサポートを受けられるので、分からないことがあれば早めに相談しましょう。

届出が必要な変更事項必須書類
・支援責任者の変更
・新たな支援責任者の選任
・支援責任者または担当者の役職変更
・支援担当者の減少
・支援担当者の変更・追加
・委託先の登録支援機関の変更
・委託を終了して自社支援
・支援内容
・支援計画変更に係る届出書(参考様式
第3-2号)
・1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)

⑤登録支援機関との支援委託契約に関する変更があった場合

登録支援機関との契約内容に変更があった、自社支援から委託に切り替えるなど、登録支援機関との支援委託契約に関して変更があった場合は随時届出が必要です。この場合も、届出の提出は受け入れ企業が行います。書類作成で不明な点があれば、支援業務を委託している登録支援機関のサポートを受けながら丁寧に進めていきましょう。

届出対象事項必須書類
・支援委託契約の契約内容を変更したとき
・支援委託契約を終了したとき
(自社支援に切り替える場合)
・新たに登録支援機関と支援委託契約を締結したとき
(自社支援から委託に切り替える場合)
・委託先の登録支援機関を変更したとき
・支援委託契約に係る届出書(参考様式第3-3-3号)
・支援委託契約に係る届出書(参考様式第3-3-2号)
・登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(参考様式第1-25号)

なお、これまで企業が自ら支援を行っていたケースでも、支援体制の見直しをきっかけに登録支援機関に委託することもできます。特定技能制度の支援業務は、事前ガイダンスや生活オリエンテーションに加え、定期面談や行政手続きの同行など多岐にわたります。特にホテルや旅館のように日常業務が忙しい職場では、支援にかける時間や人的余裕を確保することが難しい場合も多いため、専門知識を持つ登録支援機関に委託することで、より安定した受け入れ体制を築きやすくなります。

登録支援機関について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
登録支援機関とは?ホテル・旅館の外国人採用

バリプラGlobalでは、登録支援機関として、外国人の雇用を検討する企業様をサポートします。ホテルや旅館の外国人雇用でお悩みがあれば、以下のボタンからお気軽にご相談ください。

⑥不正行為が発生した場合

受け入れ企業は、外国人への以下のような不正行為があったと認知した場合は届出をしなければなりません。

届出対象事項必須書類
・外国人に対する暴力や脅迫、監禁
・外国人のパスポートや在留カードの取り上げ
・外国人に対しる賃金、報酬の一部または全部の未支給
・外国人の私生活の不当な制限など
・出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為に係る届出書(参考様式第3-5号)

(参考:特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令第二条第一項第四号リ | e-Gov法令検索

不正行為に関する届出は、制度の信頼性を守るためにも非常に重要です。不正が外部の調査などで発覚する前に、企業や支援機関が自主的に報告する姿勢が求められています。

随時届出の提出方法と提出先


特定技能 随時届出

随時届出は、主に以下の3つの方法で行います。

  • オンライン
  • 郵送
  • 窓口

これまでは、窓口または郵送での提出が主流でしたが、「出入国在留管理庁電子届出システム」を使ってオンラインでの提出も可能です。利用するには事前登録が必要なので、早めに済ませておきましょう。

また、随時届出の提出先は、原則として特定技能所属機関の本店または本社の所在地を管轄する地方出入国管理在留管理局または支局です。

地方局・支局管轄地域
札幌出入国在留管理局北海道
仙台出入国在留管理局青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
東京出入国在留管理局茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、山梨県、長野県
東京出入国在留管理局横浜支局神奈川県
名古屋出入国在留管理局富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
大阪出入国在留管理局滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県
大阪出入国在留管理局神戸支局兵庫県
広島出入国在留管理局鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
高松出入国在留管理局徳島県、香川県、愛媛県、高知県
福岡出入国在留管理局福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮城県、鹿児島県
福岡出入国在留管理局那覇市局沖縄県

随時届出の提出期限


随時届出は、変更や事由が発生した日から14日以内に提出しなければなりません。郵送の場合は、書類が入管に届いた日が提出日となるため、発送日には十分注意しましょう。

特定技能制度における随時届出は、外国人本人の在留資格の維持にも関わる重要な手続きです。届出が遅れると罰則の対象となるおそれもあるため、変更の事実が確認できた段階ですぐに準備を進めましょう。特に退職や支援体制の変更など、急に発生するケースもあるため、常に対応できるように社内で情報共有の体制を整えておくことが大切です。また、遅れた場合でも、気付いた時点で遅延理由書を添付して速やかに提出しましょう。理由によっては罰則を回避できる可能性もあります。

随時届出の提出は速やかに対応しよう!


特定技能 随時届出

今回は、特定技能制度における「随時届出」について解説しました。
随時届出は、外国人の受け入れに関する変更やできごとを、出入国在留管理庁に適切に報告するための仕組みです。雇用条件の変更や契約の終了、支援体制の見直しなど、現場で起こりうるさまざまな場面で届出が求められます。届出の提出を怠ると罰則の対象となる可能性もあるため、どのようなケースで届出が必要かを事前に把握しておくことが大切です。
特にホテルや旅館業界では、シフト変更や繁忙期の体制変更など、柔軟な対応が求められる場面も多いため、状況の変化が随時届出の対象にあたるかどうかを定期的に確認する習慣をつけるようにしましょう。

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