特定技能1号と2号は何が違う?7つの違いを徹底比較!ホテル・旅館の外国人採用

特定技能 1号 2号 違い

近年、ホテル・旅館業界では、人手不足の解消策として外国人材の採用が進んでいます。その中でも「特定技能制度」は、即戦力となる外国人を雇用できる制度として注目されています。特定技能とは、日本国内で人手不足が深刻な分野において、一定の技能と知識を持つ外国人が働くことができる在留資格です。

特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類あり、この2つには、在留期間や対象分野、家族の帯同、必要な支援の有無などのさまざまな違いがあります。

この記事では、特定技能1号と2号の違いを7つのポイントで比較し、それぞれの取得方法について詳しく解説します。特定技能制度の活用を検討している企業様は、ぜひ参考にしてください。

特定技能1号と2号の7つの違い


特定技能 1号 2号 違い

特定技能1号と2号には、大きく7つの違いがあります。

特定技能1号特定技能2号
在留期間最大5年
(更新は1年・6か月・4か月ごとのいずれか)
無期限
(更新は3年・1年・6か月ごとのいずれか)
求められる技能水準相当程度の知識または経験を必要とする技能熟練した技能
日本語能力試験の有無日本での業務や生活に要する日本語能力を試験等で確認
(※技能実習2号を良好に修了した外国人は試験免除)
試験等での確認は原則不要
対象分野宿泊業、外食業を含む16分野宿泊業、外食業を含む11分野
家族の帯同可否不可要件を満たせば可能
(配偶者・子に限る)
支援の必要性必須不要
永住権の取得可否不可要件を満たせば可能

ここでは、それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

①在留期間

特定技能1号と2号では、在留期間に大きな違いがあります。

  • 特定技能1号:最大5年(1年、6か月、4か月ごとのいずれかで更新)
  • 特定技能2号:無期限(3年、1年、6か月ごとのいずれかで更新)

特定技能1号の在留期間は、最大5年までと決められており、この期間を超えての在留は認められていません。一方、特定技能2号は、更新し続ければ無期限で日本に在留可能です。
特定技能1号の外国人が在留期間を超えて日本に在留するには、特定技能2号への移行が求められます。2号へ移行することで、より長期的に働いてもらうことができ、キャリア形成も図れるため、受け入れ企業にとっては人材確保やサービスの質の向上につながります。また、特定技能2号に移行後、日本に10年以上在留すれば、永住権(「永住者」の在留資格)を取得するための条件を満たせる可能性があります。永住権については後述します。

②求められる技能水準

特定技能1号は、特定の産業分野において「相当程度の知識または経験」を必要とする業務に従事する外国人を対象としています。そのため、指示された業務を問題なく理解し、即戦力として一定の業務を遂行できるレベルが求められます。

特定技能2号では、特定の産業分野で「熟練した技能」を必要とする業務に従事する外国人が対象となり、1号よりも高い水準の技能レベルが求められます。熟練した技能とは、自分の判断で専門的な業務を遂行し、現場での指導や監督ができることを指し、管理職や責任者としての役割が期待されます。そのため、特定技能2号の取得には、特定技能2号評価試験または技能検定1級への合格に加えて、2年以上の実務経験が必要です。
特定技能1号と2号のそれぞれの取得方法については、次の章で詳しく解説します。

③日本語能力試験の有無

特定技能1号では、日常会話ができる程度の日本語能力が求められるため、日本語能力試験の受験が必須です。「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(Aレベル)」に合格しなければ、特定技能1号の在留資格は取得できません。

一方、特定技能2号は、日本語能力に関する具体的な基準は設けられておらず、在留資格の取得時に日本語能力試験の受験は原則不要です。しかし、外食業や漁業分野では、日本語能力試験が必須となっており、N3以上の合格が求められます。

④対象分野

特定技能1号と2号では、以下のように、それぞれ働ける分野に違いがあります。

特定技能1号特定技能2号
介護
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
自動車運送業
鉄道
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
林業
木材産業
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業

参考:法務省「特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)」「特定技能2号の各分野の仕事内容(Job Description)

特定技能1号では16分野特定技能2号では11分野の業界で働くことができます。

外国人が特定技能としてホテル業界で働くには、「宿泊業」または「外食業」を取得する必要があり、それぞれ従事できる業務にも違いがあります。たとえば、宿泊業を持つ外国人なら、フロントやホテル内での接客、レストランサービスなどを任せられます。外食業は、接客や調理、店舗運営など、外食業に関わる幅広い業務を行うことができます。どちらも経験を積んで技能評価試験に合格すれば、特定技能2号への移行が可能です。ただし、外食業に関しては、技能評価試験の合格に加えて日本語能力試験(N3以上)の合格が求められます。

宿泊業、外食業についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
特定技能「宿泊業」とは?任せられる業務や受け入れ企業が満たすべき要件
特定技能「外食業」とは?ホテル・旅館の外国人採用

⑤家族の帯同可否

特定技能1号の外国人は、日本に単身で来ることが前提となっており、家族を呼ぶことはできません。そのため、日本で長く働きたい外国人にとっては、大きな制約となることがあります。
特定技能2号では、要件を満たすことで家族を日本に呼ぶことができるようになります。配偶者や子どもに限り認められ、親や兄弟、親戚は対象外です。家族と一緒に生活できることで外国人の定着率が上がり、長期的な人材確保につながるため、企業にとってもメリットのある制度だといえます。

特定技能2号の家族には、「家族滞在」の在留資格が与えられます。家族滞在を申請するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 家族関係、婚姻関係を証明できること
  • 呼び寄せる側(特定技能2号の外国人)に家族を扶養できる経済力があること
  • 扶養を受けること

配偶者を日本に呼び寄せるには、日本の法律上の婚姻関係が認められている必要があります。そのため、婚約や内縁関係、パートナーシップ、離婚している場合は、申請条件を満たしていないと判断されます。子どもについては、成年・未成年、実子・養子に関わらず申請が認められます。

また、家族滞在の在留資格は、就労ビザで働く外国人の扶養を受けることが要件となっています。そのため、「家族を扶養できる経済力があること」「扶養を受ける意思があること」が求められ、同居していることが望ましいとされます。

⑥支援の必要性

特定技能1号の外国人を雇用する場合、受け入れる企業には外国人への支援を行う義務があります。

特定技能1号の外国人に必要な支援

  1. 事前ガイダンスの実施
  2. 出入国時の送迎
  3. 住居の確保や生活に必要な契約のサポート
  4. 生活オリエンテーションの実施
  5. 公的手続きへの同行
  6. 日本語学習機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職サポート
  10. 定期面談の実施・行政機関への通報

このように、特定技能1号の外国人を受け入れるには、外国人が日本での仕事や生活に困らないよう、企業側はさまざまなサポートを行うことが求められます。一方で特定技能2号の外国人は、すでに日本での生活に慣れ、仕事にも適応していると考えられるため、このような支援義務はありません。

自社でのサポートが難しい場合は、登録支援機関に支援業務を委託することも可能です。登録支援機関とは、外国人が日本でスムーズに働き、生活できるよう支援を行う機関で、入国手続きや住居探し、生活オリエンテーションなどを代行します。

バリプラGlobalでは、登録支援機関としてホテル業界の外国人雇用をサポートしています。「宿泊業」や「外食業」に特化した外国人材紹介も行なっているので、これから外国人の雇用を検討している企業様は、お気軽にご相談ください。
ホテル・旅館に特化した海外人材紹介 バリプラGlobal

登録支援機関や外国人に必要な支援内容について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
登録支援機関とは?ホテル・旅館の外国人採用

⑦永住権の取得可否

日本の永住権を取得するには、「日本に10年以上の在留歴があること」が条件の一つとされています。しかし、この「10年の在留歴」には、技能実習や特定技能1号での在留期間は原則として含まれません。そのため、在留期間が最大5年と決められている特定技能1号では、永住権の要件を満たすことはできません。
一方、特定技能2号は在留期間の上限がなく、何度でも更新することが可能です。そのため、特定技能2号として10年以上日本に継続して在留した場合は、永住権を申請できる可能性が出てきます。

外国人が日本の永住権を取得するには、このほかにもさまざまな要件があります。

永住権を申請するための法律上の要件

  • 素行が善良であること
  • 安定した生活ができるほどの資産または技能を持っていること
  • 永住することで日本に利益があると認められること

(参考:法務省 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)」)

特定技能1号の取得方法


特定技能 1号 2号 違い

外国人が特定技能1号の在留資格を取得するには、「技能評価試験と日本語能力試験に合格する方法」「技能実習から移行する方法」の2つがあります。

ここでは、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

①技能評価試験と日本語能力試験に合格する

特定技能1号の在留資格を取得するためには、「技能評価試験」と「日本語能力試験」の両方に合格する必要があります。

特定技能 1号 取得方法

技能評価試験は、希望する分野で即戦力として働けるかを確認するための試験で、分野ごとに異なる内容が設定されています。
たとえば、「宿泊分野特定技能1号評価試験」では、学科と実技の2科目あり、「フロント業務」「広報・企画業務」「接客業務」「レストランサービス業務」「安全衛生とその他の基礎知識」の5つのカテゴリーから出題されます。学科試験は30問で選択式、実技試験は6問で実際の現場を想定した対応能力を測ります。

日本語能力試験は、「日本語能力試験(JLPT)N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル)」のいずれかに合格することが求められます。
日本語能力試験(JLPT)のN4は、「基本的な日本語を理解できる」と認定されます。国際交流基金日本語基礎テストも、「ある程度の日常会話ができ、生活に支障がない日本語能力があるかどうかを判定する」ための試験なので、どちらかの試験に合格した外国人は、日常や仕事でのコミュニケーションに問題がないと言えます。

JLPTのN4は「基本的な日本語を理解できる」とされており、簡単な日常会話であれば対応できます。国際交流基金日本語基礎テストも、生活に支障がない程度の日本語力を確認するための試験です。

ただし、N4レベルではビジネス現場での専門的な会話や、お客様対応などの複雑なやりとりには不安が残る場合があります。特に宿泊業や外食業では、丁寧な接客や即時の対応が求められるため、業務を円滑に進めるには現場での日本語サポートやマニュアルの整備、スタッフの配置など、企業側のフォロー体制が重要です。また、特定技能1号の外国人を受け入れる企業には、「日本語学習の機会を提供すること」が義務付けられています。会社で日本語の勉強会を開いたり、教材を用意したりするなど、外国人がより日本語能力を高められる制度を整えましょう。自社での支援が難しい場合は、登録支援機関に委託することもできます。

バリプラGlobalでは、登録支援機関として、企業様の外国人雇用をサポートします。ホテルや旅館の外国人雇用でお悩みがあれば、以下のボタンからお気軽にご相談ください。

②技能実習から移行する

2つ目は、「技能実習2号から移行する方法」です。

技能実習 特定技能1号 移行

技能実習とは、発展途上国からやって来た外国人が、日本で働きながら技能と知識を身につけ、自国の発展に役立ててもらうための制度です。これまで技能実習生は、実習が終われば帰国することが前提でしたが、特定技能制度が整備されたことで技能実習から特定技能への移行が可能となりました。

技能実習2号から特定技能1号に移行するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 技能実習2号を良好に修了している
  • 技能実習の職種や作業内容と、特定技能1号の業務に関連性がある

要件を満たす技能実習生は、技能評価試験と日本語能力試験が免除されるので、試験なしで特定技能1号へと移行できます。宿泊業への移行は「宿泊職種第2号技能実習」、外食業への移行は「医療・福祉施設給食製造職種第2号技能実習」を修了した実習生が対象です。
技能実習時の職種と関連のない特定技能へ移行する場合でも、技能実習2号を良好に修了していれば日本語能力試験は免除されますが、移行する分野の技能評価試験に合格する必要があります。

特定技能2号の取得方法


特定技能 1号 2号 違い

特定技能2号は、特定技能1号よりも高い技能と知識を持つ外国人向けの在留資格です。取得には、分野ごとに実施されている技能評価試験に合格することが必須であり、その難易度は1号よりも高めに設定されています。さらに、外食業や漁業など一部の分野では、日本語能力試験(JLPT)のN3以上への合格も求められます。

特定技能 2号 取得方法

もともとは特定技能1号からの移行が前提とされていましたが、2023年秋からは制度が見直され、試験などで高い技能を持つことが確認されれば、特定技能1号を経なくても特定技能2号の在留資格を取得できるようになりました。この場合も、分野ごとの技能評価試験への合格が求められます。しかし、分野ごとに「日本国内の企業で3年以上の実務経験」「管理職としての実務経験」「試験の申し込みは企業が行う」などの追加要件があり、1号を経なければ取得が難しい分野もあります。試験の難易度も非常に高いため、実際にはまず1号として働いて経験を積んでから2号へステップアップすることが現実的な選択肢だと言えます。

ここでは、特定技能2号「宿泊業」と「外食業」の取得要件を紹介します。

特定技能2号「宿泊業」の取得要件

  • 「宿泊分野特定技能2号評価試験」に合格する
  • 国内外の宿泊施設で複数の従業員を指導しながらフロント、企画・広報、接客、 レストランサービスなどに従事した2年以上の実務経験がある

(参考:法務省「宿泊分野|出入国在留管理庁」)

特定技能2号「外食業」の取得要件

  • 「外食業特定技能2号技能測定試験」と「日本語能力試験(N3以上)」の両方に合格する
  • 食品衛生法(昭和22年法律第233号)の営業許可を受けた国内の飲食店で2年間の実務経験がある
    • 複数の従業員の指導、監督業務の経験
    • 店舗管理の補助業務(副店長、サブマネージャー等)の経験

(参考:法務省「外食業分野|出入国在留管理庁」)

特定技能2号を取得すると、在留期間の制限がなくなり、家族の帯同も可能になるため、長期的に日本で働きたい外国人にとって大きなメリットがあります。企業にとっても、優秀な人材を引き続き雇用でき、採用や教育にかかるコストの削減が期待できます。

特定技能1号と2号の違いを理解してホテル業界でも活用しよう!


特定技能 1号 2号 違い

今回は、特定技能1号と2号の7つの違いについて解説しました。

特定技能1号は、特定の分野において一定の技能と知識持ち、即戦力として働ける外国人向けの在留資格です。在留期間は最長5年で、原則として家族を日本に呼ぶことはできません。また、企業には外国人が日本での生活に困らないよう支援する義務があります。
特定技能2号は、1号よりも高度な技術や知識を持つ外国人向けの在留資格です。在留期間の上限がなく、条件を満たせば、家族の帯同や永住権の取得が可能となることが大きな特徴です。また、特定技能1号とは異なり、企業による生活支援の義務はありません。

特定技能1号の外国人を雇用する場合、企業は仕事面だけでなく、外国人の生活面での支援も行わなければなりません。入国手続きなどの各種手続きのサポートの加え、住居探しや生活オリエンテーション、日本語学習の機会の提供など、さまざまな負担が発生します。そのため、外国人雇用をスムーズに進めるには、登録支援機関をうまく活用することが重要です。

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