特定技能の外国人を受け入れるには、さまざまな手続きがあり、雇用後も「定期届出」を行う義務があります。定期届出とは、外国人本人の就労状況や支援の実施状況などを出入国在留管理庁に報告するものです。必要書類や提出先など、初めて対応する方には分かりにくい部分も多いでしょう。
なお、2025年4月には法令の改正に伴って、特定技能制度の運用についても一部変更されました。定期届出に関しては、提出回数や提出書類の様式が変更され、実務にも関わる内容となっています。
この記事では、特定技能制度における定期届出について、外国人を雇用するホテル・旅館が押さえておきたい基本情報を分かりやすく解説します。雇用の継続にも関わる大切な業務なので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
特定技能制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください!
特定技能とはどんな在留資格なのか分かりやすく解説!ホテル・旅館の外国人採用
目次
特定技能制度の「定期届出」とは?

特定技能の外国人を受け入れる企業には、外国人に対するさまざまな支援が義務づけられており、その中の一つに「定期届出」があります。定期届出は、外国人が適切な労働環境で働いているか、生活支援がきちんと行われているかを出入国在留管理庁に報告するものです。特定技能制度の健全な運用と在留管理を目的としているため、届出を怠った場合は罰則の対象となることもあります。
定期届出の主な目的
- 特定技能外国人が適切な環境で働けているかを確認するため
- 特定技能外国人に対する支援計画がきちんと実施されているかを把握するため
- 特定技能制度の適正な運用を確保するため
特定技能は、就労だけでなく支援が義務づけられている制度であるため、雇用する側の責任として適切に届出を行うことが求められます。提出期間や提出先、必要書類をしっかり把握し、期限を守って届出を行えるように徹底しましょう。
登録支援機関に支援業務を委託すると、定期届出に必要な書類の一部を登録支援機関が作成・届出を行ってくれます。受け入れ企業が作成・届出を行う書類についても、登録支援機関のサポートを受けられるため、自社だけでの対応に不安がある方は登録支援機関への委託を検討しましょう。
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定期届出の提出手続きについて

ここでは、定期届出の提出期間・提出期限、具体的な提出方法と提出先について解説します。
定期届出の提出期間・提出期限
定期届出の提出期間は、制度の改正によって大きく見直されました。これまでは四半期に1回(3か月ごと)でしたが、2025年4月からは1年に1回に変更されました。ただし、2025年1月1日~3月31日までの届出は、従来通り2025年4月1日~4月15日までに行われ、新しいルールでの定期届出(1年に1回の届出)を最初に提出するのは2026年4月以降となります。
<従来の提出期間・提出期限>
届出の対象期間 | 提出期限 | |
第1四半期 | 1月1日~3月31日 | 4月1日~4月15日 |
第2四半期 | 4月1日~6月30日 | 7月1日~7月15日 |
第3四半期 | 7月1日~9月30日 | 10月1日~10月15日 |
第4四半期 | 10月1日~12月31日 | 翌年の1月1日~1月15日 |
<改正後の提出期間・提出期限>
届出の対象期間 | 提出期限 |
4月1日~翌年3月31日 | 翌年4月1日~5月31日 |
(参考:法務省 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関の皆さま(特定技能制度における届出のルールが変わります!)」)
今後はこれまでよりも余裕のある提出期限となりますが、書類の不備や記入ミスによって書類の再作成が発生することもあります。届出対象期間が終わる月の中旬頃には、必要書類を集めたり、これまでの記録や情報をまとめたりするなど、届出に向けて準備を進めるとよいでしょう。
定期届出の提出方法
定期届出は、主に以下の3つの方法で行います。
- オンライン
- 郵送
- 窓口
出入国在留管理庁が提供している「電子届出システムポータルサイト」は、24時間365日対応しているため、時間や場所に関係なく届出可能です。このシステムを利用するには、事前に窓口や郵送で「利用者情報登録届出書」を提出し、利用者情報を登録する必要があります。オンラインで届出を提出する場合は、直前になって慌てないよう、早めに登録しておきましょう。
また、オンライン環境が整っていない場合や、届出システムの利用が難しい場合は、郵送や窓口での提出もできます。特に初めて届出を行う企業にとっては、その場で職員の方から説明を受けられたり、書類の不備を修正できるため、窓口での提出が安心です。郵送の場合は、書類が入管に届いた日が提出日となるため、発送日には十分注意しましょう。
いずれの方法でも、内容の記載漏れや誤りがあると受理されないことがあるため、提出前にしっかり確認することが大切です。届出に関する不明点については、地方出入国在留管理官署または外国人在留総合インフォメーションセンターに問い合わせることもできます。
定期届出の提出先
定期届出は、所属機関(受け入れ企業)の本店・本社所在地を管轄する地方出入国在留管理局またはその支局に提出します。
地方局・支局 | 管轄地域 |
---|---|
札幌出入国在留管理局 | 北海道 |
仙台出入国在留管理局 | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
東京出入国在留管理局 | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、新潟県、山梨県、長野県 |
東京出入国在留管理局横浜支局 | 神奈川県 |
名古屋出入国在留管理局 | 富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 |
大阪出入国在留管理局 | 滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県 |
大阪出入国在留管理局神戸支局 | 兵庫県 |
広島出入国在留管理局 | 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 |
高松出入国在留管理局 | 香川県、徳島県、愛媛県、高知県 |
福岡出入国在留管理局 | 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮城県、鹿児島県 |
福岡出入国在留管理局那覇市局 | 沖縄県 |
特定技能の定期届出に必要な書類

定期届出に必要な書類は、登録支援機関に支援業務を委託している場合と、自社内で支援する場合で異なります。それぞれ必要な書類について見ていきましょう。
登録支援機関に委託している場合
外国人の支援を登録支援機関に任せている場合は、受け入れ企業と登録支援機関とでそれぞれ作成・届出を行う書類が異なります。書類に不備がないように、しっかり準備しましょう。
受け入れ企業が作成・届出を行う書類
<必須>
- 受入れ・活動状況に係る届出書(参考様式第3-6号)
- 特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況(参考様式第3-6号 別紙)
- 賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの、比較対象の日本人のもの)
<場合によって必要な書類>
- 報酬支払証明書(参考様式第5-7号 別紙):報酬を現金で支払っている場合に必要
- 理由書(任意様式):期間内に届出ができなかった場合に必要
登録支援機関が作成・届出を行う書類
<必須>
- 支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-7号)
- 1号特定技能外国人支援対象者名簿(参考様式第3-7号 別紙)
<場合によって必要な書類>
- 相談記録書(参考様式第5-4号):相談、苦情対応が発生した場合に必要
- 定期面談報告書(1号特定技能外国人用/監督者用、参考様式第5-5号/5-6号):定期面談時に問題が認められた場合に必要
- 転職支援実施報告書(参考様式第5-12号):「非自発的離職時の転職支援」を実施した場合に必要
- 支援未実施に係る理由書(参考様式第5-13号):実施予定の支援が未実施となった場合に必要
- 理由書(任意様式):期間内に届出ができなかった場合に必要
(参考:法務省 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出(提出書類)」
2025年4月の法令改正にあたって、2026年4月以降の届出は、これまでの「受入れ・活動状況に係る届出書」と「支援実施状況に係る届出書」が統合され、「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)」として一本化されます。この様式には、外国人の労働日数や労働時間、給与の支給総額に加え、生活支援の実施状況など、雇用と支援の両面にわたる情報を記載する必要があります。
登録支援機関に支援業務を委託している場合、定期届出に必要な情報や記録を定期的に共有してもらえるため、実務の負担を大幅に軽減できます。必要な書類の案内や、記入可能な部分の代行、その他の項目の記入方法の説明を受けられるほか、提出先や提出期限、提出方法についても案内があります。分からないことがあれば、その都度質問や相談もできるので、書類の不備のリスクを最小限に抑えられることも大きなメリットです。
ただし、提出そのものはあくまで受け入れ機関が行います。登録支援機関のサポートを受けつつも、提出書類の内容をしっかり確認し、責任を持って対応できるように体制を整えておくことが重要です。
自社内で支援する場合
登録支援機関に委託せずに自社で外国人の支援を行う場合は、以下の書類を全て自社で用意する必要があります。
<必須>
- 受入れ・活動状況に係る届出書(参考様式第3-6号)
- 特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況(参考様式第3-6号 別紙)
- 賃金台帳の写し(特定技能外国人のもの、比較対象の日本人のもの)
- 支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-7号)
- 1号特定技能外国人支援対象者名簿(参考様式第3-7号 別紙)
<場合によって必要な書類>
- 相談記録書(参考様式第5-4号):相談、苦情対応が発生した場合に必要
- 定期面談報告書(1号特定技能外国人用/監督者用、参考様式第5-5号/5-6号):定期面談時に問題が認められた場合に必要
- 転職支援実施報告書(参考様式第5-12号):「非自発的離職時の転職支援」を実施した場合に必要
- 支援未実施に係る理由書(参考様式第5-13号):実施予定の支援が未実施となった場合に必要
- 報酬支払証明書(参考様式第5-7号 別紙):報酬を現金で支払っている場合に必要
- 理由書(任意様式):期間内に届出ができなかった場合に必要
登録支援機関に支援業務を委託すれば、用意する書類の一部を支援機関が作成してくれるため、定期届出にかかる手間や事務負担を大きく軽減できます。
一方で、自社で支援を行う場合は、届出書類の準備や提出に加えて、特定技能外国人に対する支援の実施とその記録もすべて自社で対応しなければなりません。たとえば、3か月に1回以上の定期面談の実施や、その内容を記録した報告書の作成、本人からの相談・苦情への対応および記録の保管など、多岐にわたる業務が発生します。場合によってはこれらの内容も定期届出に含まれるため、支援業務と書類作成の両方に一定の時間と人手が必要となります。特定技能の受け入れをスムーズに行うためにも、自社での支援が難しいと感じた場合は積極的に登録支援機関の活用を検討しましょう。
登録支援機関について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
登録支援機関とは?ホテル・旅館の外国人採用
バリプラGlobalでは、登録支援機関として、特定技能外国人の雇用を検討する企業様をサポートしています。ホテルや旅館の外国人雇用でお悩みがあれば、以下のボタンからお気軽にご相談ください。
定期届出の提出期限を過ぎてしまったら?

定期届出は、出入国在留管理庁が特定技能外国人の就労状況や支援の実施状況を把握するために欠かせない手続きであり、定められた期限内に提出する義務があります。しかし、事務処理の遅れや社内での確認漏れなどにより、提出期限を過ぎてしまうこともあるでしょう。定期届出を怠ってしまうと、継続して特定技能外国人の受け入れができなくなる可能性があります。そのため、届出が遅れたことに気づいた時点で速やかに管轄の出入国在留管理局に相談し、必要書類と理由書を準備して提出しましょう。
遅れて届出を行う際には、必要書類だけでなく理由書を添付する必要があります。理由書には決まったフォーマットがないので、Wordなどで作成し、提出が遅れた具体的な事情や再発防止の対応を簡潔に記載します。
届出が未提出の場合や、同じような遅延を繰り返したり、虚偽の記載があったりした場合には、受け入れ機関としての信頼性が問われ、罰金や特定技能外国人の受け入れ停止といった罰則の対象となるおそれがあります。特定技能外国人の安定した雇用のためにも、定期届出は忘れずに期限内に行えるようスケジュール管理を徹底しましょう。
定期届出は期限内に忘れず提出を!

今回は、特定技能制度における定期届出について解説しました。外国人を受け入れて雇用を継続するためには、定期的に就労状況や支援の実施状況を報告することが義務づけられています。
2025年からは届出の頻度が年1回に見直され、2026年には書類様式も一本化されるなど、制度は実務面での負担軽減が進んでいます。それでも、提出義務がなくなるわけではありません。登録支援機関に支援を委託している場合でも、届出の提出責任は受入れ機関にあることを忘れず、必要な書類や提出先をしっかり確認しておくことが大切です。
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