ホテル業界では、人材不足を背景に、外国人の採用を検討する企業が増えています。しかし、いざ面接となると「何を聞けばいいのか?」「どのように進めるべきか?」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。面接の進め方を誤ると、採用後に「思っていた働きぶりと違った」「コミュニケーションに問題があった」といったミスマッチが起き、企業にとっても応募者である外国人にとっても望ましくない結果となってしまうでしょう。だからこそ、面接の段階で確認すべきことをしっかり押さえておくことが重要です。
この記事では、ホテルや旅館での特定技能外国人の採用において、面接で聞くべき質問内容や事前に確認すべきポイント、注意点を詳しく解説します。面接をスムーズに進め、優秀な人材を採用するための対策を紹介するので、これから外国人の雇用を検討している企業様や、面接を控えている担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
外国人との面接前に確認したいこと

ホテル業界において、特定技能の外国人を正社員として採用するには、事前に確認しておかなければならないことがあります。
特定技能とは、日本国内で人手不足が深刻とされる分野において、一定の専門性を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。外国人が日本のホテルや旅館で働く場合、技能評価試験と日本語試験に合格し、「宿泊業」または「外食業」の特定技能を取得する必要があります。
特定技能「宿泊業」について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
特定技能「宿泊業」とは?任せられる業務や受け入れ企業が満たすべき要件
ホテルや旅館で働くことに問題がない人材かどうかを確認しないまま選考を進めてしまうと、後になって大きなトラブルへと発展してしまう可能性があるからです。ここでは、面接に進む前の書類選考の段階で確認しておきたい4つの項目について解説します。採用の可否や雇用条件にも影響するポイントなので、しっかり押さえておきましょう。
バリプラGlobalでは、ホテルや旅館での外国人採用を希望する企業様のサポートを行っています。事前にコーディネーターが各種確認事項について共有し、外国人との面接にも同席いたします。外国人に必要な就業前後のサポートも一貫してお任せいただけるので、外国人採用についてお悩みのある企業様は、ぜひ以下のリンクをご覧ください。
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①在留資格・在留期間
まずは、面接したい外国人がホテルや旅館で就労できる在留資格を持っているかどうかを確認しましょう。
外国人が日本で働くには、必ず就労可能な在留資格を取得する必要があります。しかし、どの在留資格でも自由に働くことができるわけではなく、資格ごとに従事できる職種や業務内容が決まっています。
日本のホテルや旅館で就労できる在留資格には、主に以下のようなものがあります。在留資格によって在留期間にも違いがあるため、合わせて確認しておきましょう。
ホテル・旅館で就労できる主な在留資格
- 特定技能1号(最大5年):フロント、企画、広報、接客、レストランサービスなど
- 特定技能2号(実質無期限):複数の従業員を指導しながらフロント、企画、広報、接客、レストランサービスなど
- 技能実習(1号から2号へ移行することで通算3年まで滞在可能):フロント、接客、レストランサービスなど
- 技術・人文・国際業務(最大5年):フロント、営業、企画、経理などの事務職、通訳など
- 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者:職種や業務内容の制限なし
また、日本国内での転職を希望する外国人の場合、仕事内容が変わることで在留資格の変更が必要になることもあります。外国人の転職は、「同一の業務区分内」または「試験等によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間」であれば試験なしで可能です。しかし、今までと違う業務区分や分野に転職する場合は、新たに技能評価試験に合格し、在留資格の変更申請を行わなければなりません。
そのため、応募者が持っている在留資格を確認し、現在の在留資格で問題なく働けるかを確認することが大切です。もし資格を変更する必要がある場合は、法務省への申請が必要となります。
②これまでの職歴・経験
外国人のこれまでの職歴や経験を確認することは、適性やスキルを見極める上でも非常に重要です。特に、宿泊業は接客スキルやチームワークが求められるため、過去にホテルや旅館、レストランなどでの勤務経験があるかどうかを確認しましょう。過去に日本のホテルや旅館で働いたことがある場合、日本の接客マナーや職場文化に慣れているため、研修期間を短縮できる可能性があります。すでにお辞儀の仕方や敬語の使い方、報連相などのビジネスマナーを理解している人であれば、よりスムーズに業務を開始できます。
また、過去に働いた職場の環境や、行ってきた仕事内容についても具体的に確認しておきましょう。自社の職場改善や、現時点でどこまで任せられるかを判断するために役立ちます。
③勤務時間
外国人がどのくらいの時間働けるのかを確認することも、採用するにあたって大切なポイントです。在留資格によって働ける時間が決まっているため、面接前にしっかり確認しましょう。「特定技能」や「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている人は、正社員としてフルタイム勤務が可能ですが、「留学」や「家族滞在」といった在留資格では、週28時間までの制限があり、正社員として働くことはできないため注意が必要です。
また、応募者が「残業はできるのか」「シフト制の勤務が可能か」など、勤務条件について理解しているかも確認しましょう。特に、宗教や文化の違いによって、特定の時間帯に働くことが難しい場合もあるため、事前に話し合っておくと安心です。たとえば、特定技能の対象国には、インドネシアをはじめとするイスラム教徒(ムスリム)が多い国が含まれています。ムスリムの人々は、1日に5回の礼拝(サラート)が義務付けられており、勤務時間中に礼拝のための休憩を必要とする場合があります。また、ラマダン(断食月)には、日の出から日没まで飲食を控えるため、勤務時間や休憩の取り方だけでなく、業務内容の調整が必要となることもあります。
ただし、勤務可能時間を知るためだったとしても、「信仰している宗教は何ですか?」と聞いてしまうと法律やマナー的に問題があるため、「1日に何時間働けるのか」「土日祝は働けるのか」を確認するとよいでしょう。気を付けなければいけない質問については、次の章で解説します。
④兵役の有無
韓国やベトナムなど、一部の国では兵役が義務付けられており、一定期間の軍務を果たさなければならないケースがあります。そのため、兵役のある国の外国人を雇用する場合は、すでに兵役を終えているのか、今後義務が発生するのかを確認することは重要です。もし今後兵役に行く予定がある場合は、数年後に帰国しなければならず、長期間の雇用が難しくなる可能性があります。採用後に急な退職や休職が発生しないよう、事前にしっかり確認しておきましょう。
外国人との面接はこんなことに注意!

外国人の採用面接では、日本人と同じように対応すると、うまく意思疎通ができなかったり、誤解が生じたりすることがあります。文化や言語の違いを考慮し、応募者が自分の能力や考えをしっかり伝えられる環境を作ることが大切です。
ここでは、外国人との面接で特に気をつけるべき4つのポイントを解説します。
文化の違いを理解する
外国人の応募者は、日本とは異なる文化や価値観を持っています。そのため、日本人なら当たり前に感じることでも、外国人にとっては意図が伝わりにくい場合があります。
たとえば、日本では「謙虚さ」が評価されやすいため、自分の能力を控えめに伝えることが一般的です。一方で、特定技能の対象国の一つである中国では個人主義の考えが強く、自分のスキルや実績を積極的にアピールすることがあります。YES・NOをはっきり言うことを好む傾向にあるため、日本のような遠慮がちな表現ではなく、聞きたいことをストレートに質問するとスムーズです。
また、日本では目を合わせて話すことが一般的ですが、ミャンマーでは目上の人を敬う意識が非常に強く、「目を合わせると失礼」だと考える人が多いです。面接中に目が合わなくても、一概に態度が悪いと判断しないようにしましょう。
その他にも、タイやミャンマー、ベトナムでは、毎日顔を合わせる場合は挨拶しないことが普通の国もあります。こうした違いも理解しておくと、採用後の人間関係の構築がスムーズです。外国人採用では、文化の違いを理解し、相手の価値観を尊重しながら接することを意識しましょう。
とはいえ、採用後は日本人スタッフと一緒に働き、日本人のお客様をメインに接客することになります。そのため、日本の接客マナーやビジネス文化についても理解してもらうことが必要です。入社時に、挨拶や言葉遣いの重要性、職場でのコミュニケーションの取り方を学べる研修を実施し、慣れるまでは先輩社員がフォローできる体制を整えておくとよいでしょう。
分かりやすい日本語で質問する
日本語が流暢な外国人でも、難しい表現や曖昧な言い方は理解しにくいことがあります。特に、敬語や遠回しな表現は誤解を生みやすいので、できるだけシンプルな言葉で伝えるようにしましょう。たとえば、「前職ではどのような業務をされていましたか?」ではなく、「前の仕事では何をしましたか?」というように、簡単な言葉で伝えると理解しやすいです。
また、日本語は、文脈から読み取ることができれば主語を省略しても意味が伝わります。特に、2人で話している時や自己紹介などでは、「わたしは」「あなたが」「何を」といった主語を省略して話す場面が多いです。しかし、話す相手が外国人であれば、文脈をすべて理解できるとは限らず、異なる意味で伝わってしまうことがよくあります。「できますか?」だけでは、「何ができるのか?」「誰ができるのか?」が分かりにくいため、「あなたはこの仕事ができますか?」と伝えるようにすれば、相手は迷わずに答えられます。
さらに、質問は一度に1つずつ行うことが大切です。長い質問や複数の要素を含む質問は、外国人にとって理解しづらくなります。
聞いてはいけない質問を知っておく
外国人採用の面接では、避けるべき質問や、聞き方に注意しなければならない質問があります。日本の労働法では、応募者の適性や能力と直接関係のない質問をすることは不適切とされており、相手が外国人であっても適用されます。国籍や人種、年齢、性別、生活環境に関する内容の質問は、差別的だと捉えられる可能性が高く、法律的にも問題があります。また、個人の価値観や思想、業務に影響のない身体状況なども、プライバシーの侵害にあたる恐れがあるため避けましょう。
面接では避けるべき質問例
- 国籍はどこですか?
- ご両親の生まれはどこですか?
- 家族構成を教えてください
- どの宗教を信仰していますか?
- 尊敬する人は誰ですか?
- 結婚(妊娠)していますか?
- 子どもはいますか?
- 出産後も働けますか?
- 持病はありますか?
- 若いので(男性なので)体力には問題ありませんよね?
特に、特定の国籍や人種を理由に不採用にすることは法律で禁じられています。情報として聞く分には問題ありませんが、深堀することは絶対にやめましょう。
しかし、宗教などの特別な事情によって、勤務時間や業務内容に配慮が必要になることもあります。その場合、合理的・客観的に必要性が認められる質問であれば問題ないとされるため、「1日に何時間働けますか?」「お客様対応で長時間立つことや重い荷物を運ぶことがありますが、問題なくできますか?」「体力的に不安な点があれば事前に教えてください」のように、質問の仕方を工夫しましょう。
雇用条件を明確に伝える
外国人の応募者は、日本の労働環境やルールを十分に理解していないことが多いため、雇用条件を明確に伝えることが重要です。特に、給与、勤務時間、休日、残業の有無、福利厚生などは、誤解がないように具体的に説明しましょう。また、特定技能や技能実習のように、在留資格によっては雇用期間に制限があるため、その点も事前に確認し、応募者と認識を合わせることが大切です。
さらに、外国人は「暗黙の了解」や「察する文化」に慣れていないことが多いため、ルールや職場の習慣を丁寧に説明することが求められます。休憩時間の取り方、遅刻や欠勤時の連絡方法、日本の職場で重視されるマナー(報連相など)といった、日本人なら言わなくてもある程度は理解しているようなことも具体的に伝えておくとよいでしょう。
外国人との面接で使える質問例

続けて、実際の面接で使える質問の例文を紹介します。外国人との言語や文化の違いを意識しながら、知りたい情報を引き出せるよう、的確な質問を準備しておきましょう。
また、外国人が自分の考えをしっかり伝えられるような雰囲気作りも大切です。緊張してうまく話せないということにならないように、アイスブレイクの役割にもなる質問を交えることもおすすめです。
基本情報や外国人本人について知るための質問
まずは、外国人本人について知ることができる質問から始めましょう。今後一緒に働いていくには、スキルや経歴だけではなく、外国人の人柄を知ることも大切です。また、リラックスした状態で話してもらうためにも、日本のイメージや最近興味を持ったニュースなどについて質問してみることもおすすめです。コミュニケーション能力や積極性、日本語でのスムーズな受け答えができるかといったことも確認できます。
- 自己紹介をお願いします
- 友人や家族など、周りの人からはどんな人だと言われますか?
- あなたが得意なことや苦手はことは何ですか?
- いつから日本語を勉強し始めましたか?
- 日本に来て困ったことはありますか?
- 日本の良いと思うところを教えてください
- 最近気になったできごとやニュースはありますか?
動機や経緯、条件に関する質問
志望動機や応募までの経緯については、入社後のミスマッチをなくすためにもぜひ聞いておきたい質問です。お互いの認識をすり合わせるためにも、会社の方針ややってもらいたい仕事内容などを伝えた上で進めていきましょう。
- 日本に興味を持ったきっかけを教えてください
- なぜ日本語を勉強しようと思ったのですか?
- どうやって日本語を勉強しましたか?
- なぜ日本の大学を選んだのですか?
- なぜ日本で働くことを選んだのですか?
- このホテルで働きたいと思った理由は何ですか?
- なぜホテル業界を希望するのですか?
- どんな仕事がしたいですか?
- いつから働けますか?
スキルや強み、経歴に関する質問
外国人のこれまでの経歴について尋ねることで、培ったスキルや強みが見えてきます。書類に書かれたことだけでは分からないことも見えてくるので、1つずつ確認していきましょう。
- 大学ではどんなことを学んできましたか?
- これまでどんな仕事(アルバイト)をしてきましたか?
- そこで特に頑張ったことは何ですか?
- その経験から何を学びましたか?
- 仕事や学業で悩んだ時はどうやって乗り越えましたか?
- 〇〇という問題が発生したらどうやって解決しますか?
- 日本で働く上で大切にしたいことは何ですか?
- これまでの仕事でやりがいを感じたのはどんな時ですか?
- コミュニケーションを円滑にするために心がけていることを教えてください
- 前の仕事を辞めた理由を教えてください
キャリアや今後のビジョンに関する質問
自身のキャリアや将来についてどう考えているか尋ねることで、仕事への熱意や向上心、長期就労の意思などが確認できます。初めて日本で働く人であっても、目標やビジョンを持っていれば向上心が高く、成長が見込めると言えるでしょう。
- これから取得したい資格はありますか?
- 3年後、5年後、どのようにキャリアアップしていきたいですか?
- ホテル業界で挑戦したいことは何ですか?
- 日本で叶えたい夢はありますか?
- いつまで日本に住む予定ですか?
また、最後に「何か質問はありますか?」というように、外国人がこちらに質問できる場を設けることもおすすめです。会社に対する不安や疑問を解消するだけでなく、自社との相性や志望度、外国人のコミュニケーション能力なども確認できます。
外国人の面接はしっかり準備して臨もう

今回は、外国人の面接において、事前に確認したいことや注意点、具体的な質問例までを紹介しました。
外国人は、在留資格を持っていれば自由に働けるわけではなく、取得した在留資格によって働ける職種や業務内容、在留期間が異なります。外国人が日本のホテル・旅館で働くには、特定技能「宿泊業」または「外食業」といった在留資格が必要です。
また、国によって文化や習慣にも違いがあるため、日本人と同じように面接してしまうとミスマッチが生じ、長期間の休職や即日退職となる可能性があります。そのため、「ホテルや旅館で働ける在留資格を持っているか」「ホテル業界で働いた経歴があるか」「働けない時間はあるか」「兵役の義務はあるか」は、事前にしっかり確認しておきましょう。国によってどのような文化の違いがあるのかを知り、外国人の日本語能力に関わらず、面接ではシンプルな日本語で話すように意識することも大切です。
バリプラGlobalでは、ホテル・旅館に特化した外国人材紹介を行っており、登録支援機関として特定技能の外国人の受け入れをサポートします。ビザの申請から入国手続きに加え、外国人の日本での生活サポートまでを一貫してお任せいただけます。これから外国人の雇用を検討している企業様や、外国人の受け入れでお悩みのご担当者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。詳しくは以下のリンクからご覧いただけます。
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