「特別永住者」とは?永住者や帰化との違いを分かりやすく解説!ホテル・旅館の外国人採用

特別永住者 永住者 違い

外国人の採用を進める中で、「特別永住者」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
特別永住者は、永住者と同じように就労制限がなく、ホテルや旅館のさまざまな職種で働くことができます。しかし、成り立ちや根拠となる法律、手続きの内容は永住者や帰化とは大きく異なります。在留資格の違いを正しく理解していないと、行政手続きの対応漏れにつながる可能性もあります。

この記事では、特別永住者の制度の特徴を整理しながら、永住者や帰化との違いを分かりやすく解説します。ホテル・旅館で外国人を安心して採用するための基礎知識として、ぜひ参考にしてみてください。

永住者については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
永住権とは?取得条件や申請手続きについて分かりやすく解説!ホテル・旅館の外国人採用

特別永住者とは?永住者との違いは?


特別永住者とは、1991年(平成3年)11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」にもとづいて認められている在留資格です。

この制度は、第二次世界大戦以前から日本に居住し、日本の統治下で日本国民として生活していた人たちを対象としています。戦後、1952年に発効したサンフランシスコ平和条約により、朝鮮半島や台湾が日本の領土でなくなったことで、在日韓国人・朝鮮人・台湾人の多くが日本国籍を離脱することになりました。

その後、日本で長く生活してきた事情や定住の実態を考慮して定められたものが特別永住者です。
特別永住者の対象には、当事者本人だけでなく、子や孫などの子孫も含まれます。両親のどちらか一方が特別永住者である場合、要件を満たせば特別永住許可を申請することができます。

就労に関する制限がないことは永住者と共通しており、ホテルや旅館でも、職種を問わず採用することができます。一方で、制度の根拠となる法律や手続きの流れ、行政上の扱いには違いがあります。
ホテルで雇用する場合は「どちらも自由に働ける在留資格」という理解にとどめず、制度の違いを把握しておくことが重要です。

以下に、特別永住者と永住者の違いをまとめました。

項目特別永住者永住者
根拠となる法律入管特例法出入国管理及び難民認定法
申請先居住地の市区町村出入国在留管理庁
審査基準出生や家族関係など歴史的背景に基づく在留年数、収入、納税状況、素行などを総合的に審査
交付される証明書と携帯義務特別永住者証明書
(携帯義務なし)
在留カード
(携帯義務あり)
強制送還のリスク低い
(内乱罪・外患誘致罪などの重大犯罪を犯した場合のみ)
高い
(犯罪を犯した場合に対象となる可能性あり)
再入国許可の年数再入国許可:最大6年
みなし再入国許可:2年
再入国許可:最大5年
みなし再入国許可:1年

続けて、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。

①根拠となる法律

特別永住者は、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に基づいて在留が認められています。
一方、永住者は「出入国管理及び難民認定法」に基づく在留資格であり、一定の条件を満たした外国人に対して許可されます。

このように、特別永住者は一般的な外国人とは異なる法制度のもとで位置づけられており、制度そのものが別枠であることが大きな特徴です。

②申請先

特別永住者に関する手続きは、住民登録している市区町村の窓口で行います。特別永住者証明書の交付、更新手続きは、居住地の市役所や区役所が窓口となります。
永住者の場合は、在留資格に関する申請や許可を出入国在留管理庁で行います。更新や変更が発生するたびに、入管での手続きが必要です。

採用後に「どこで手続きをすればよいのか」を本人から聞かれる場面もあるため、申請先の違いを理解しておくと実務でも役立ちます。

③審査基準

特別永住者は、本人の出生や家族関係など、歴史的背景に基づいて資格が認められています。一般的な在留資格のように、学歴や職歴、日本語能力、収入状況といった条件による審査は行われません。
永住者は、日本での在留年数や安定した収入、納税状況、素行など、複数の審査項目を満たす必要があります。申請から許可までに時間がかかることも多く、取得のハードルは高めです。

④交付される証明書と携帯義務

永住者には在留カードが交付され、外出時には携帯する義務があります。警察官などから提示を求められた場合、すぐに確認できる状態にしておく必要があります。

一方、特別永住者には在留カードではなく、「特別永住者証明書」が交付されます。特別永住者証明書には携帯義務がなく、常に持ち歩く必要はありません。ただし、市区町村での手続きや身分確認の場面では提示を求められることがあります。

ホテルや旅館での採用において、在留カードを所持していないからといって不備と判断しないよう注意が必要です。証明書の種類が異なることを理解したうえで、在留資格の確認を行いましょう。

⑤強制送還のリスク

特別永住者は、日本で長く生活してきた歴史的な経緯を踏まえて認められている在留資格であるため、強制送還される可能性は極めて低いとされています。退去強制の対象となるのは、国家の安全や外交に重大な影響を及ぼすような犯罪など、ごく限られたケースに限られます。

一般的な在留資格や永住者の場合、入管法に定められた要件に該当すると、在留資格の取り消しや退去強制の対象となる可能性があります。重大な犯罪を犯した場合などには、永住許可が取り消され、強制送還となることもあります。

⑥再入国許可の年数

永住者も特別永住者も、日本を出国して再び入国する場合には、再入国許可またはみなし再入国許可が必要です。ただし、有効期間には違いがあります。

再入国許可の有効期間は、永住者が最長5年であるのに対し、特別永住者は最長6年とされています。みなし再入国許可の場合も、永住者が1年以内、特別永住者が2年以内と、特別永住者のほうが長く設定されています。

また、再入国時の手続きにも違いがあります。永住者は一般の外国人と同様に入国審査を受けますが、特別永住者は制度の成り立ちをふまえ、手続きが簡素化されています。この点からも、特別永住者は在留の安定性が高い在留資格であることが分かります。

帰化との違いは?


特別永住者や永住者とよく比較される制度に「帰化」があります。ただし、帰化は在留資格ではなく、日本国籍を取得する手続きであることが大きな違いです。
帰化が認められると、日本人として扱われるようになり、在留資格という概念そのものがなくなります。そのため、在留カードや特別永住者証明書は不要となり、再入国許可の手続きも必要ありません。選挙権や被選挙権など、日本国民としての権利も得られます。

一方、特別永住者や永住者は、国籍は外国籍のままです。就労制限はなく、日本で安定して生活することができますが、法的には外国人として扱われます。

ホテルや旅館の採用においては、帰化した人は日本人スタッフと全く同じ扱いになります。そのため、在留資格の確認や外国人雇用に関する手続きは不要です。
このように、特別永住者・永住者=外国籍のまま日本で暮らす制度、帰化=日本国籍を取得する制度という点を押さえておくと、採用時の判断がしやすくなります。

在留資格や制度の違いを理解して雇用準備を進めよう


今回は、特別永住者と永住者、帰化の違いを解説しました。

特別永住者は、歴史的な背景をもとに認められている在留資格であり、永住者と同様に就労制限なく、ホテルや旅館のさまざまな職種ではたらくことができます。ただし、根拠となる法律や手続きの窓口、在留証明書の種類、再入国時の扱いなどには違いがあります。
また、帰化は在留資格とは異なり、日本国籍を取得する制度です。帰化した人は日本人として扱われるため、外国人雇用に関する確認や手続きは不要となります。

ホテル業界で外国人採用を進める際には、在留資格や制度の違いを正しく把握することで、採用後のトラブルを防ぎ、安心して長く働いてもらえる環境づくりにつながります。

バリプラGlobalでは、登録支援機関として、企業様の外国人雇用をサポートします。面接や事前ガイダンスでの通訳をはじめ、就業前後に必要な手続きを一貫してお任せいただくことで、スムーズな外国人雇用を実現します。
ホテル・旅館に特化した外国人材紹介も行っているので、外国人の受け入れでお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。詳しくは以下のリンクからご覧いただけます。
ホテル・旅館に特化した海外人材紹介 バリプラGlobal

定住者とは
在留資格「定住者」とは?永住者との違いや雇用時の注意点を解説 ホテル・旅館の外国人採用
ホテルや旅館では、外国人の採用が年々進んでいます。その中でも「定住者」の在留資格を持つ人は、就労制限がなく、さまざまな職種で働ける人材として…
特定活動46号
特定活動46号とはどんな在留資格?従事可能な業務や取得要件を解説!ホテル・旅館の外国人採用
特定活動46号は、日本の大学や大学院を卒業した外国人が、高い専門知識と日本語能力を生かしながら幅広い業務に携われる在留資格です。
これまで…

関連記事

  1. 技人国 職種 ホテル

    技術・人文知識・国際業務(技人国)とは?ホテルでできる仕事や職種を徹底解説!

  2. 特定技能 有給休暇

    特定技能の外国人は有給休暇を取得できる?ホテル業界が知っておくべき基本ルール

  3. 登録支援機関とは

    登録支援機関とは?ホテル・旅館の外国人採用

  4. 特定技能 技能実習 違い

    「特定技能」と「技能実習」の違いとは?ホテル・旅館の外国人採用

  5. 特定技能とは

    特定技能とはどんな在留資格なのか分かりやすく解説!ホテル・旅館の外国人採用

  6. 宿泊業 特定技能

    特定技能「宿泊業」とは?任せられる業務や受け入れ企業が満たすべき要件