在留資格「定住者」とは?永住者との違いや雇用時の注意点を解説 ホテル・旅館の外国人採用  

定住者とは

ホテルや旅館では、外国人の採用が年々進んでいます。その中でも「定住者」の在留資格を持つ人は、就労制限がなく、さまざまな職種で働ける人材として注目されています。特定技能や技術・人文知識・国際業務(技人国)などの他の就労資格のように、任せられる業務内容が細かく決まっていないため、フロント業務やレストラン、客室清掃など幅広い仕事に対応できることが強みです。

この記事では、「定住者」とはどのような在留資格なのかを分かりやすく説明します。
告示定住者・告示外定住者の違いや、永住者との違い、雇用時の注意点までを解説するので、ホテル業界での外国人採用を検討する際にぜひ役立てください。

特定技能や技人国については以下の記事でも紹介しているので、あわせてご覧ください。
特定技能とはどんな在留資格なのか分かりやすく解説!ホテル・旅館の外国人採用
技術・人文知識・国際業務(技人国)とは?ホテルでできる仕事や職種を徹底解説!

定住者とは?


「定住者」とは、法務大臣が個別に判断して在留を認める在留資格の1つです。家族関係や生活の事情、人道的な配慮など、さまざまな理由で日本での長期的な生活が必要と判断された場合に許可されます。

定住者は就労制限がないため、さまざまな業界や職種で活躍できます。ホテルや旅館であればフロント業務をはじめ、客室清掃、レストランサービス、調理など、幅広い仕事に従事可能です。

取得には、以下の3つの要件を満たす必要があります。

  • 身分的要件:日本人や永住者などとの身分関係を基準に判断されること
  • 独立生計要件:日本で自立して生活できる経済的基盤があること
  • 素行要件:法令を守り、社会的に良好な生活態度を維持していること

また、定住者には、法務省告示により対象者が明確に定められている「告示定住者」と、個別の事情を考慮して定住が認められる「告示外定住者」の2種類があります。

告示定住者について

「告示定住者」とは、法務省が定める告示に明記された具体的な事情に該当する人のことをいいます。あらかじめ条件が定められているため、申請の判断基準が比較的分かりやすいことが特徴です。

主な例として、以下のような人が該当します。

  • インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、大韓民国、中華人民共和国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、フィリピン、ブータン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モルディブ、モンゴル、ラオスに一時滞在する難民
  • 日系二世、三世、四世などの子孫
  • 日系人や定住者(在留期間1年以上)の配偶者
  • 永住者または定住者、日系人の扶養を受ける子ども(年齢などの条件あり)
  • 日本人、永住者、定住者(1年以上在留)の6歳未満の養子
  • 中国残留邦人およびその親族

(参考:出入国在留管理庁「○出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件(平成2年法務省告示第132号) 定住者告示」)

このように、告示定住者は日本との結びつきが強く、すでに日本で生活基盤を築いているケースが多いと言えます。そのため、言葉や文化への理解度も高く、ホテルで働くうえでも即戦力として採用しやすい人材層です。

告示外定住者について

「告示外定住者」とは、告示の条件には当てはまらないものの、人道的な理由など特別な事情によって法務大臣が個別に定住を認めた人のことです。あらかじめ基準が決められているわけではなく、在留歴、生活実態、家庭状況などを総合的に判断して決定されます。

代表的な例として、以下のような人が挙げられます。

  • 日本人または永住者の配偶者と離婚、死別した後も日本での生活を希望する人
  • 日本人または永住者の配偶者との婚姻が事実上破綻し、引き続き日本での生活を希望する人
  • 日本人の実子を養育している外国人
  • 日本で長年生活し、義務教育から高校まで修了した子ども
  • 難民認定はされなかったが、人道的な理由で帰国が困難な人

このように、告示外定住者は、一人ひとりの事情を考慮して判断されるため、同じ状況でも許可されるかどうかはケースによって異なることがあります。
背景や事情にかかわらず、定住者の在留資格を持っている外国人はホテルや旅館の人手不足の解消として活躍が期待されます。

定住者と永住者の違い


定住者と似た在留資格に「永住者」があり、日本に永住する権利(永住権)を持つ外国人を指します。
定住者とは共通点が多い一方、いくつか重要な違いがあります。

項目定住者永住者
在留期間5年、3年、1年、6か月
または法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)
無期限
更新手続き必要不要
(在留カードは7年ごとに更新が必要)
就労制限なしなし
在留カードの携帯義務ありあり
選挙権なしなし
主な取得要件人道的・政策的理由など特別な事情が認められることで取得可能日本に10年以上在留し、一定の要件を満たすことで取得可能

このように、大きな違いとしては、在留期間と更新手続きの必要性、取得要件が挙げられます。
定住者と永住者は就労制限がなく、どの職種でも働けるため、ホテル業界においても即戦力として採用できる点で共通しています。ただし、定住者の場合は在留期間の管理が必要となるため、採用時や契約更新時に在留カードの有効期限を確認することを忘れないようにしましょう。
定住者の雇用において注意すべきことは、次の章でさらに詳しく解説します。

永住権の取得条件や申請手続きについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
永住権とは?取得条件や申請手続きについて分かりやすく解説!ホテル・旅館の外国人採用

定住者の外国人を雇用する際の注意点


定住者は就労制限がない在留資格ですが、雇用する際にはいくつか注意が必要です。

  • 在留期間の管理が必要
  • 身分関係の変化によって在留資格喪失の可能性

定住者の在留期間は人によって異なり、1年・3年・5年などさまざまです。
企業側は、雇用時に必ず在留カードで期間を確認し、有効期限が切れる前に更新の案内を行うことが求められます。更新されないまま働かせると、本人だけでなく企業側も不法就労助長罪に問われるおそれがあるため、在留期限の管理はとても重要です。

また、定住者は日本人や永住者の配偶者・子どもなど、身分に基づいて在留を許可されている場合が多くあります。そのため、離婚や死別など、身分関係に変化があると在留資格の変更が必要になることがあります。場合によっては定住者の対象外となり、出国しなければならなくなる可能性もあるため、本人の状況に変化があったときは早めに確認し、必要に応じて入管への相談を行うことが大切です。

定住者は就労制限なし!在留期間の確認と管理の徹底を


今回は、定住者とはどのような在留資格なのか解説しました。

定住者は、日本とのつながりが深く、長期的な生活が認められた在留資格です。就労制限がないため、ホテルや旅館のさまざまな職種で力を発揮でき、現場の即戦力として活躍する人が多く見られます。
告示定住者や告示外定住者のように、背景や事情は人によって異なりますが、多くの場合、日本語力や生活面の理解が高く、チームに早く馴染みやすいことが特徴です。
採用時には在留カードの確認や雇用状況の届出、在留期間の管理をきちんと行うことで、安定して働ける環境を整えることができます。

外国人採用を検討するホテルや旅館にとって、定住者は活躍を期待できる人材層の一つです。文化や背景の違いを理解しながら、互いに安心して働ける環境を築くことが、サービスの質の向上にもつながります。

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